2019年1月11日に『自分の曲の利用許諾「拒まれた」 JASRACを提訴』というニュースがありました
これについてはネットで勘違いした人のコメントが見受けられたので、勘違いの部分について解説したいと思います
JASRACを提訴というニュース
「自分の曲の利用許諾「拒まれた」 JASRACを提訴」
自身のオリジナル曲の利用許諾を日本音楽著作権協会(JASRAC)に拒まれ、ライブが開けなかったなどとして、ミュージシャンらが計約380万円の損害賠償をJASRACに求める訴訟を東京地裁に起こした
のぶよしさんらは2016年4~5月、都内のライブハウスで演奏するため、のぶよしさんが作詞作曲した曲など複数の曲の利用許諾をJASRACに求めたが、「店側が著作物の使用料を支払っていない」として拒まれた。
ネット上で勘違いが見受けられた部分
ネット上で勘違いが見受けられた部分はこれです
「自分で作曲した曲なのに本人が使えないのはおかしい」という主張です
この後解説します
知的財産権とは
楽曲は著作権という知的財産です
知的財産には特許という発明を権利にしたものもありますよね
今回の例は特許で説明すると分かりやすいので、特許で説明してみますね
例えば、Aさんが画期的なカメラのストラップを発明して特許をとりました
Aさんはこの特許をカメラメーカーのY社に1000万円で売りました
Y社はこのカメラストラップを制作して販売しました
ところで、Aさんは、自分でもこのカメラストラップを制作して販売したいと思いました
さて、Aさんはカメラストラップを販売することができるでしょうか
結論から書きます
Aさんはこのカメラストラップを販売することはできません
出来ない理由は法律違反だからです。特許法違反です
なぜならばカメラストラップの特許のオーナーはY社だからです
AさんはY社の特許を勝手に使ってはいけません
「いやいや、オレが発明したストラップだぞ」という主張はとおりません
特許とはそういうものです
Aさんはどうしたら良かったのでしょうか
AさんはY社に特許を売るときに「ボクにはタダで使わせてね」という契約一文を入れておけば、Aさんはストラップを販売できます
ただしY社が「では特許の買取価格はその分1000万円ではなく800万円でいいですよね」とは当然主張するでしょうね。
ビジネスですから当たり前です
今回のJASRACの場合
今回のアーティストがJASRACとどういう契約になっているかはわかりませんが、
著作権という権利は特許と同じで、いったんライセンスを他人に譲渡したならば作曲した本人であっても勝手に使うことはできません。
使いたい場合は特許のように「自分は使えるように」契約しておく必要があります。
(JASRACとはそういう契約になっているのかもしれませんが)
特許の解説というと法律の話が多いですが、そうではなくビジネスツールとしての特許の使い方についてわかりやすく解説しました
⇒⇒⇒特許って難しそう? 特許を持ってると何が得なの?わかりやすく説明します